双子は対である。おそらくは歴史や神話、世間一般的に、そういうイメージがあることでしょう。実際互いが互いの片割れであるという意識は根強く、幼い頃は同じ存在だと、信じて疑いませんでした。違う人間だなんて、思いもしなかったのです。だって、声も、背も、てのひらさえ、ぴたりと一緒だったのに。
 対である双子。
「というわけでどうですかこれ!」
「また子供みたいなことを言って!」
 三コマ目で早々に終わった大学からの帰り道。ふらりと立ち寄ってみたお店には、あちこちにセール中!と書かれたチラシが貼ってある。
 ハンガーのついた服を二着分、両手で持って意気揚々と掲げてみせました。一つはレディースで、一つはメンズ。
 色違いの、一目でお揃いとわかる服。
「だめですかお揃い!いいじゃないですかお揃い!」
「確かにお揃いのものは昔からたくさんありましたけどっ!」
「可愛くないですか?!可愛いですよこれ!!」
「いやまあそうですねお前には似合ってますよ!?」
「じゃあ兄様にも似合いますよ!双子ですもの!」
 自信満々に言ってのけると、ぐうと兄様が黙り込みます。別にこれは、全力で嫌がってるわけでもなんでもなくて、
「……なんだか照れくさいですね?」
 つまりはそういうことでした。確認をとるように訊ねてみると「わかってやってるでしょう、お前」と呆れられました。もちろんです。照れてる兄様もまた素敵なものでした。半分、いや八割程度本気だったので、残念は残念ですけれど。
 ふと二着を重ねてみれば、その違いは顕著に表れる。同じMサイズなのに、くっきりと違えた、男女の差。
 今はもう、泣きません。
「じゃあ部屋着ならどうですか?」
「こだわりますねえ……全く、ほんと子供みたいなんですから」
 あ、まんざらでもなさそう。
 寄り道はもう少し、長くなりそうでした。