「外に干すなんてとんでもない、泥棒ホイホイもいいところですよ、そんな輩は絶対にコロス」
兄の言葉を思い出し、そして大人しく従った。一人分の洗濯はすぐに終わって、カーテンレールに引っ掛けて干す。人一人の命を救えるのならば安いもの。やることはもう終わってしまった。家具家電は一通り揃っていたけれど、さすがに録画機器はないために、頑張って早起きして、どうにか日曜朝を見届けたお昼前。炊飯器のスイッチは押してあるし、おかずはこの前たくさん冷蔵庫に詰めていただいので、それで。
ごろりと仰向けになる。この部屋は、とにかく静か。ビジネスマン向けのマンスリーマンションだからか、隣人の物音も気になったことがなくて、快適に過ごしている。見繕ってきてくれた兄様様だ。……兄様様様? 様?
ベッドはちょっと大きめのセミダブル。なかなか寝心地がよくて、ここに来てからというものの、ほとんどベッドの上で過ごしている。
「って言ったら、さすがに叱られるかなあ」
時々言われる「めっ!」を思い出して、ふふふ、と思わず笑みが漏れた。もちろんかっこいいのは当然だとしても、兄にはけっこう、いやたくさん、可愛いところがある。それをいちばん多く知っているのは当然自分だと思っているし、そこばかりは譲れない。そこばかりは譲れない、のだが。
「……くっ……!」
可愛い。
とても可愛い。
唸りながら携帯を握り締め、そのまま一回転した。覗いていたのはツイッター、暇があればTL警備、それこそがツイ廃のつとめ。きりっ。
そのツイートは画像付きで、本文は「整理したら出てきてので(ものすごく可愛い顔文字とハート)」、兄のアカウントの一つ――兄がいくつアカウントを持っているか妹の自分ですら把握しきれていない――だった。
ジャンルはさっき観ていた日曜朝の女児向けアニメ、やっているのは三世代前のイエロー。
つまりはコスプレ写真である。
「あざとい……あざとい……」
兄様ったら!!
とりあえずふぁぼる、と思ったら既にふぁぼっていた。何故。指が勝手に? なるほど。ついでにRTもしておこう。何故? 可愛いから!
「私の兄がこんなに可愛いわけがある……っと」
ツイート。
ふぁぼられ。
……早すぎでは?
もちろんふぁぼってきたのは兄である。くすくす笑いながらもう一度一回転してうつ伏せになった。
こうして兄の可愛さがまた一つ世間に知られてしまったわけだが、大丈夫だろうか。あまりの可愛さに変な輩に粘着されないだろうか、瞬く間に1000RTとか超えないだろうか。
まあちょっとというかかなりの筋肉質で肩幅もしっかりしていて腕も脚もとても逞しくて全く一分たりとも隙もない完璧な細マッチョ体型の兄が妖精に助けを求められて伝説の戦士に変身する女児向けアニメのイエロー枠をやるには厳しいところもなくはないけれどそれはそれとしてものすごく可愛いんだから!
140字みっちり使ったツイートは、やはり兄の手によってふぁぼられるのであった。
「酷くないですか(リプライ)」
「褒めてますよ!(リプライ)」
Oct.06|Oct.08
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