ほぼ始発の、なんでもない土曜日の朝。下りの電車はがらがらだった。駅にはまあ、金曜日にやらかした酔っ払いが転がっていましたが。早起きした妹は半分寝ていたようなもので、汚いものを見せずに済んでよかった、と思う。彼女にはきれいなものだけ見て欲しい。
「急ぎではないですし、交通費の節約にもなりますし、ゆっくり鈍行で行きましょう!」
昨夜そう提案してきたのは妹でした。流石私の妹は偉い。偉くて可愛い。可愛くて偉い。流石私の妹。その可愛くて偉〜い妹の頭が、今は静かに、私の肩に寄りかかっている。
僥倖。
「朝早かったですからねぇ」
実家はそこそこに遠い。到着時間を変えないのであれば、出発時間が早くなるのは当然だ。
ふふ、と自然に笑みがこぼれる。時と場所が許せば愛らしさと幸せを叫びだしたいくらいだったが、あいにく早朝とは言え公共の場であるし、そんなことをしたら天使が目を覚ましてしまうのですんでのところで止めました。代わりに、彼女は聞いていないけれど、ちゃんと起きれて偉いですねと褒め称えた。
たとえば、荷物を網棚に乗せようとすると、(私の妹は大変可愛らしくいい子であるから)手伝おうとするので、お前は座ってなさいと声をかけた時の、渋々とした「はあい」という返事とか。自分の鞄から妹用の膝掛けだけ出して、冷えないように、と渡してやると、眠そうながらもきちんとこちらを見上げて(つまり上目遣いで)「ありがとうございます」なんて、へにゃりと笑ってくれるだとか。
ただただ隣に在るだけで、どうしてこんなに幸せを降らせることができるんでしょう。
少しだけ首を傾けると、つやつやした、自分と同じ真っ黒で、おんなのこの匂いのする髪の毛が、頬に触れた。くすぐったい。
これは、必然でも、当然でも、ない。
双子の兄が、我が物顔で手にしていい、権利でもない。
「……どこまでもどこまでも、」
いいえ、いいえ。思い直して、頭をふった。
朝焼けの向こうに銀河鉄道をゆめみるなんて、ちょっとポエミー過ぎでした。
Oct.19|Oct.21
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