chapter:スイカ

〈year 2509〉


 こうなってからも、何十回何百回すきってなったかわかんないのに。
 本人に伝えられなきゃ、意味ないもん。



〈year 2509〉


 ……逆にすごくない? すきが尽きないってどういうこと? 千空がすごいのか、わたしがすごいのか。ううん、どっちもかな。
 おめでてえ頭だなって言われそう。わーすき!



「あちゃ~、ヤッバ……雷とか磁石とか発電所とか色々ありすぎて忘れてた~……あ~、困ったな~! ジーマーで困ったなぁ~!」
「……お、お困りな気配なんだよ? す、スイカでよければ力になりたいんだよ!」
 おっきな独り言だったから、ついそう言っちゃった。でもでも、ゲンはまだ村に来たばっかりだし。ギュイーンて大きな円い板を削るお手伝いは終わったし。トンテンカン、組み立てるのに他のみんなは忙しそうだから、やっぱりここは、スイカの出番!
「ありがとうスイカちゃん、助かるよぉ! それで助けて欲しいお願いってのがね……」
 ごにょごにょごにょ、ゲンのちっちゃい声の内緒話に、スイカは思わず、
「た、た、た、大変なんだよーー!! すすすすぐに借りてくるんだよーーー!!」
「あ゙?」
「お?」
「む? どうしたんだ、スイカは」
「……あちゃ~」
 とってもとっても、おっきい声が出ちゃったんだよ!
 くるくる回って、すぽん! 急いでただのスイカになった。急がなくちゃ可哀想なんだよ! 
「む、村の外に裸んぼの女の子がいるんだよー! 誰か、誰か服を貸してあげてほしいんだよーー!!」
「あ~~正しくは裸同然、なんだけど~……アハハ……聞いてないよね……」
 コロコロコロコロ、スイカは叫びながら全速力で村まで転がっていく。

「ね、ねえ、は、裸の女の子が森にいるってぇ!? おおおおっぱ……じゃなくて、ぼ、ぼく上着かけにいってあげよっかなあ!?」
「……銀狼、お前はここから一歩たりとも動くんじゃない」



〈year 3219〉


 千空、今頃なにしてる? 元気してる? 千空のことだから、お元気いっぱいに頭を働かせて、動ける時のために色々考えてるんだろうな。すき。



〈year 3219〉


 わたしは元気だよ。あれからびっっくりするくらい時間が経ってるなんて、もうわかるってる。その大半をすきで埋めてきたとか、自分でも呆れちゃう。呆れられそう。呆れられたいな。悪態だってつかれたい!
 ……でもほんのちょっとだけ、目を細めてくれるんだ。