第四話 お、俺の育てたダッチワ〇フが…

 さて、ダンジョンに潜って約10日。
 ベヒモスを倒したボス部屋で一泊するところだ。
 ダンジョンにいる間は出さないつもりだったけど、フェルも危険はほぼないって言ってたから、取り出してもいい気がする。
 何って例の植木鉢だよ。
 ほら、ダンジョンクリアしたし。俺にもご褒美があってもいい気がする。別にここで使うわけじゃないけどさ。
 やっぱり時間経過がないから気になるんだよね。大きくなったし、今出しておいたらそろそろ実が生るかもしれない。そして宿に戻ったら……ゴクリ。
 俺はアイテムボックスから植木鉢を取り出した。
 また朝にこっそり仕舞えばいいよな。

 そして翌朝。
 俺が目を覚まして真っ先に視界に飛び込んで来たのは、至近距離で眠る女の子の顔だった。
 はいはい、夢でしょこれ。
 昨日ハナちゃん(仮名)の植木鉢を出したからって期待し過ぎでしょ俺。
 女の子はスイを抱き枕にしてすうすう眠ってる。か、可愛い。可愛い×可愛いは超可愛いだな。なんかいい匂いまでする。頭についてる花の蕾のせいか? リアルな夢だなあ。
 ってちょっと待って、この子何も着てなくない?
 スイのせいで直接は見えないけど、スライムってほぼ透明だし。いい夢過ぎないか?
 …………ゆ、夢だし、ちょっとくらい見てもいいよな。な?
 ドキドキしながら少しずつ布団をめくると、女の子の目がぱちりと開いた。
 な、なんかごめんなさい。
 バッチリ目が合う。
 女の子は少し眠そうに俺の顔を見つめて、ふにゃっと笑った。うわっっなんだ今の可愛い。それから口をぱくぱくさせたけど、動いただけで声は聞こえない。
 な、なんて言ったんだろ。さっきと違うドキドキで完全に目が覚めた。
 …………完全に目が覚めたのに女の子が消えないんですけど。
 え、これもしかして夢じゃないの?
 寝起きでぼんやりしてる女の子が、ハッとしたように俺の顔と自分の体を見比べて、みるみるうちにその顔を真っ赤にさせた。
『~~~~~~ッ!?!?』
「ごごごごごごめん!?」
 うわー!! やっぱり夢じゃなかった!!
 反射的に謝っちゃったけどどういう状況!? 流石に起き上がってなんか思わず正座だよ! 女の子も状況がわかってないのかパニックになってて、待ってせめて布団で体隠してスイちゃんじゃ隠れないからー!! それほとんど丸見えだからー!!
『んんー……どうしたのあるじー……あれ? あるじじゃない。誰ー?』
『なんだ、騒がしいな……む? お主、女など連れ込めたのか』
『ふわぁ~もう朝か……って誰だよそれ』
 そんなの俺が一番聞きたいっての!!
『あー! わかったー!』
 突然女の子に抱かれてるスイが大きな声を出した。
『あるじー、この子ハナちゃんだよー!』
 ………………は?
 いやいやいやいやそれはないでしょスイたんや。
 だって俺が育ててたアルラウネモドキって植物だよ。
 その子どう見たってただの女の子じゃん。確かに花はついてるけど髪飾りじゃないのか?
『スイお世話してたからわかるもん!』
『えっそうなのか? そんなの初耳だぜ』
『我もだ。何故スイだけ知ってるのだ?』
『えへへ。ずっとスイが水やりしてたのー見ててね』
 得意気にスイが触手を伸ばして、女の子の頭に水をかけると、ふわりと蕾が花開いた。
『わーい! ハナちゃんお花咲いたね、きれいだねー! あるじー、スイ、ちゃんとお世話できたよ!』
 あ、頭の花が咲いた……。
 よく見ると、髪の毛の先も不思議に緑がかってて、髪の毛に混じって太い蔓が隠れてた。
 恐る恐る振り向いて確認すると、植木鉢は……転がってる。土しか残ってない。
 じゃ、じゃあ、本当に?
「は、ハナちゃん(仮名)……なのか……?」
 恐る恐る聞いてみると、女の子は涙目で何度も頷いた。
 ええーーーー!?

<< 前へ 次へ >> 目次